味覚障害
味覚障害【概要】
- 味覚障害とは舌の味蕾や神経などに障害が生じ、味が分からなくなる病気。
- 味覚障害は「食べ物がマズくなる」という弊害がある。
- 味覚障害は治療が遅れると治癒が難しくなる。
味覚障害とは味を感じる器官やそれに関係する神経に障害が生じ、味が分からなくなる病気です。単純に味覚に対する障害ですが、食べ物がマズくなる傾向があり、栄養不足に繋がることもあるので簡単に考えてはいけません。
味覚は、舌や軟口蓋(口の奥の柔らかい部分)の表面にある味蕾と呼ばれる細胞群で感じます。味覚はおもに舌にある味蕾で感じた刺激が、脳まで伝わって味として認識されます。
味蕾のある舌またはその周囲に異常があったり、舌から脳に行く途中の神経あるいは脳に異常があると味覚障害を起こします。なかには精神的なものもあります。
味覚障害は主に高齢者に多い病気とされてきましたが、最近では若い人の味覚障害も増えています。これはファーストフードなどの加工食品や亜鉛不足が原因と考えられています。
味覚障害の症状
味覚障害の症状は一言で言うと「食べ物の味がしなくなる」ということですが、細かくは次のような症状があると言えます。
- 食べ物の味が全く分からなくなる。
- 食べ物の味が全て薄く感じる。
- 甘みだけが感じなくなる。
- 全ての食べ物が何とも言えない嫌な味に感じる。
- 常に苦い味を感じる。
全てに共通して言えることは「食べ物がマズくなる」ということです。それによって食が細くなったり、食事に偏りが生じ、栄養不足になる可能性もあるので注意が必要です。
味覚障害の原因
味覚障害の原因は様々なものがありますが、主なものは次の5つに分類できます。
1.口腔内の病気
味覚障害で一番多いのは舌炎や口内炎など口腔内の粘膜の異常です。高齢の方によく見られる唾液分泌が減少する口内乾燥なども味覚障害の原因です。その他、風邪などによる口腔内の炎症なども味覚障害の原因になります。
2.他の病気による一症状
肝臓や腎臓、貧血の病気や糖尿病、膠原病などの病気も味覚障害の原因になることがあります。その他、脳腫瘍や脳血栓などの脳の病気、顔面神経まひなどの神経系の病気も味覚障害を起こすことがあります。
3.亜鉛不足
近年増えているのが亜鉛不足による味覚障害です。亜鉛は味蕾細胞の形成に大きく関わっている成分です。
ダイエットなどの偏食による亜鉛不足の他、ファーストフードやコンビニ弁当などの加工食品による亜鉛不足も増えています。
これは加工食品には亜鉛を排出してしまうポリリン酸やフィチン酸、リン酸といった成分が多用されているからです。アルコールの飲酒も亜鉛不足を招きます。
4.薬の副作用
薬の副作用も味覚障害の原因になります。実は味覚障害を起こす薬剤は様々なものがあります。一例をあげると、降圧剤や高脂血症剤、抗鬱剤や鎮痛剤、利尿剤や抗甲状腺剤、肝疾患治療剤や抗がん剤などに使われている成分の一部に味覚障害の原因となる成分が含まれている場合があります。
5.精神的な要因
ストレスやうつ病など精神的な要因も味覚障害の原因になることがあるようです。明確な因果関係は分かりませんが原因不明の味覚障害の場合は、精神的なものが要因となっている場合が多いようです。
前述した抗鬱剤や精神安定剤などの服用による副作用が味覚障害の原因になっている場合もあります。
味覚障害の治療
味覚障害の治療は主に耳鼻咽喉科で行います。治療方法は検査や診察による原因調査を行い、それに対する処置を行います。
具体的な治療法は各原因によって異なるので医師の指示に従って頂くのが一番ですが、重要なことは味覚障害は早く治療を受けた方が治りやすいということです。
味覚障害が発症して1年以上放置した場合は治癒が困難になると言われています。「いつかは治るだろう」と考えずに、味覚に異常を感じたらすぐに医師に相談してください。
味覚障害に効果があると思われる食品成分
味覚障害に効果があると思われる健康成分には以下のようなものがあります。